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2,480円なんて安い!? 新アプリセットが有料になった本当の理由

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スティーブ・ジョブスによる「Macworld Conference & Expo Keynote」で発表された、iPod touch用の5つの新しい公式アプリ。

兄貴分であるiPhone にだけ搭載されていたアプリがついに追加され、”差別(化)”されていた生活に終わりを告げる朗報のはずでした。
 

しかしながら、iPhoneを使って自ら新しいファームウェアと、改良されたアプリのデモをして湧きに湧いた会場は、次のフレーズで一瞬にして凍りつきました。

"Starting today, we're going to build it into every iPod touch that leaves the factory. And for existing ipod touch usres, it's going to be just a $20 upgrade."
(本日より工場から出荷されるすべてのiPod touchにこれらの機能を追加する。既存のiPod touchユーザにはたったの20ドルで提供する)

 おそらくこれを聞いたほとんどの人が、”なぜ有料なのか?”と戸惑ったに違いありません。

この”有料アップデート”に対する意見や反応は様々で、喜んでアップグレードを行った人もいれば、反対の署名運動を始めるサイトも存在します。

”なぜ有料なのか?”の回答としては、「Life is beautiful」は、米国の厳しい会計基準が要因、とする興味深い考察しています。しかしながら、スティーブのKeynoteを聞き返してみて、理由は他のにあるのではないかと考えるようになりました。

有料になった理由はライセンス料

5つのアプリケーションの中で最も注目を集めたのは、Wi-Fi(iPhoneは携帯の電波も)を使った、”擬似GPS”が追加されたMapsでした。スティーブのiPhoneでのデモと、その後の、”仕組み”についての説明でも熱が入っているのが感じられました。

この擬似GPSは、ボストンに本社を置く、”Skyhook Wireless” の技術で、Wi-Fiの電波とその位置を車で拾いながらデータベース化、それを元にWi-Fiシグナルだけで位置測定を可能にする、というもの。

データベースは米国2,500都市、2千3百万アクセスポイント(AP)を数え、現在ヨーロッパとアジアに広げているとのこと。カバーしているエリアはSkyhook Wirelessのコチラのページでみることができます。マップをスクロールしてみると日本では都内ではじまっているのが分かります。

仕組みわりとシンプルですが、問題はそれだけのデータを集め、更新していくのに莫大な労力(=資金)がかかるということです。Wi-Fiのシグナルはせいぜい100m~程度しか届かないでしょうから、"面”で都市をカバーするとなると、幹線道路はもとより、もっと細い道まで機材を積んだ車で走りデータ収集をしなければなりません。そしてその費用は最終的にサービスを利用する側が払うことになります。

アップルはこの擬似GPS機能をiPhone・iPod touchに追加するため、相当のライセンス料を支払った、ということは容易に想像できます。(Googleに対しても、Skyhookよりは少ないと思われますが、ライセンス料が発生している可能性があります)

ひとつのアイデアに対する3つの異なるアプローチ

実は”Wi-Fiを使った擬似GPS”はめずらしいものではなく、同じアイデアを使ったサービスが他にもあります。

JailbreakしたiPhone・iPod touchで使用可能な、New Yorkに本社がある"Navizon"。国内では、ソニーと東京大学が共同で開発した、”PlaceEngine”などです。

"Skyhook Wireless"は、全てのAPを自ら集めて回り、しかもそれを更新し続ける、という気の遠くなるような作業を、"力ずく"、で実行。必要となる莫大な資金はベンチャーキャピタルから調達しています。サイトでは既に$16.8millionを集めたと公表しています。

一方、"Navizon"は自らのサービスを、”Peer-toPeer Wireless Positioning”と呼び、GPSデバイスを持ったユーザにデータを集めてもらいそれに対して対価を払う、という方法でAPのデータベースを構築しています。

今回、San FransicoでiPod touchを使い"Navizon”のテストをしてみました。2箇所のスターバックスで試しましたが、結果は誤差10m以内と極めて正確なものでした。

navizon.jpg

SFだけのテストなのでなんとも言えませんが、それなりにAPデータベースは充実しているものと思われます。このサービスへの料金は$24,99(ワンタイムコスト)。かれらのビジネスモデルは、利用者から料金を徴収し、それをデータの収集をしてくれるユーザへの報酬に当てる、というものです。

システムなどに初期投資は掛かっているものの、有料サービスと報酬システムでユーザを利用したことで、莫大な資金を必要としないというところが特徴です。

さらに興味深いのは、”PlaceEngine"です。

基本原理は同じですが、APデータ構築にユーザをさらに積極的に活用し、APIを無償で提供しているところがユニークです。
近くのAPがデータベースに登録されていない場合、ユーザが地図上で場所を登録することで、APを追加することが可能です。

800ヵ所のAPと15,000の観測点dデータで初期データベースを構築、ユーザの手によってデータが増え続けています。APIを公開していることで多くのアプリケーションに搭載され、それがユーザ数の増加につながり、データベースが充実していく、という好循環になるわけです。

一般ユーザに広く参加してもらい、それぞれの小さな労力を集積することで、膨大な資金(それに加え排出される膨大なCO2)を使って構築されているのとサービスを提供できる可能性があるわけです。

その意味で、同じ目的をもちながら、"PlaceEngine"は"Web 2.0"的、"Skyhook"は以前からある資本主義の典型、という両極をなしている、と考えられます。"Navizon"はその中間に位置していると言えるでしょう。

今回有料となった背景には、アップルが”Web 2.0”的ソリューションよりも、"Web 1.0"的ソリューションを選択した、結果とみることもできると思います。

 

 

2008年1月20日 | | Comment() | Trackback(0) |


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